タレント動物育成のスペシャリストに聞きました

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たかはし たけひろ▶栃木県出身。高校卒業後、専門学校に進み一度は料理の道を志す。その後、動物が好きで常連として通っていた熱帯倶楽部の当時の店長から、熱烈な誘いを受けてスタッフとして働くことに。ペットショップ店員として働きながら、自ら企画して移動動物園や動物プロダクションなど、社内に新しい事業を作り出す。近年は、動物業界の幅広い知識を買われて、専門学校の講師も務めている。著書に『コワい生き物のすごいひみつ』(全3巻)や『かわいい ハリネズミと暮らす本』がある。

子どもたちが動物とふれあえる場所を作りたい
動物の仕事は人の価値観を180度変えられる

動物とふれあえる最も身近な場所

 熱帯倶楽部はエキゾチックアニマルの専門店で、ここ東川口と東京に2店舗の合計3店舗が営業しています。ペットショップ事業が中心ですが、動物プロダクションも展開しています。動物プロダクションは、元々は移動動物園をしたいということが始まりでした。昨今は、子どもたちが生き物にふれあう機会が、すごく少ない時代になっています。そこで、ショッピングモールなどを定期的に巡る、移動動物園をやれば子どもたちに、生きた動物を見せたり触らせたりすることができると考えたのがきっかけです。
 動物系の専門学校を出て動物園や水族館への勤務を望む若者は多いですが、私がペット業界で20年近く仕事をしていて感じるのは、動物好きや動物好きになってくれそうな人たちと一番身近に接するのがペットショップや移動動物園なのです。そんな一番身近な場所で、目をキラキラさせて動物たちとふれあう子どもたちの姿を見ていると、本当にこの仕事にやりがいを感じます。

移動動物園と動物プロダクションの関係

 移動動物園には、50~100匹くらいの様々な種類の動物を出しています。元々人馴れした動物を選んでいますが、移動動物園に連れて行き大勢の人間と触れ合うことで、さらに人に懐いていきます。このような、ものすごく人に馴れた動物たちを、タレント動物としてTV局などに貸し出しているというわけです。ですから、移動動物園と動物プロダクションは互いにつながっているのです。

動物の仕事は人の価値観を変えられる仕事

 動物業界に入ってすごく良かったなと感じることは、人の価値観を180度変えられることです。たとえば、ヘビには「噛む」「毒」「凶暴」などの一般的なイメージがあります。けれど、実際にヘビを間近で見れば、すごく紳士的で争い事は好まないし、余程のことがないと噛まないということがわかります。また、ヘビはヌメヌメして気持ち悪いと考えていた人に、実際に触ってもらうと筋肉質で触り心地がいいとか、そんな感想を持ってもらえたりして、価値観を180度変える機会を提供することができるので。事実、移動動物園で一番人気が出るのがヘビです。最初は怖がっていた子どもたちや親御さんたちも、笑顔でヘビとふれあうようになってきます。

動物は種ではなく個で見ることが重要

 私がスタッフに常々言っていることは、動物を種ではなく、個で見てあげるということです。種の説明は図鑑やインターネットを見れば誰にでも簡単にできますが、個の説明はお店で実際に世話をしているスタッフでないとできません。たとえば、同じフェレットという種でも「この子はこうなんですよ」と、個の説明ができれば、お客さんは「この子がかわいい」と感じてくれます。ですから、うちのお店では、どの種の動物が欲しいということではなく、「この子が欲しいから来ました」というお客さんがとても多いです。

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動物育成の仕事をめざす高校生へのメッセージ

動物の話題をきっかけにしてコミュニケーション力を磨く
動物好きの中には、人とのコミュニケーションが不得意な方も多いです。人と話すことが苦手な方は、動物の話題をきっかけに、人とコミュニケーションをとることから始めてみてほしいです。動物が大好きになれるなら、きっと動物のことが大好きな人のことも好きになれます。

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